第三セクター鉄道等協議会のお知らせ

【三セク鉄道だより第64号掲載】京都丹後鉄道の新型特急車両導入について

北近畿タンゴ鉄道株式会社
代表取締役社長 北村哲也

1 はじめに

北近畿タンゴ鉄道㈱は、平成27年3月に国土交通省から鉄道事業再構築実施計画(以下「計画」という)の認定許可を受け、第三種鉄道事業者として、車両、鉄道用地、鉄道施設等の保有会社となり、また、列車の運行については、WILLER TRAINS(株)(以下「WT」という)が第二種鉄道事業者として弊社の保有する鉄道用地・施設等を有償で借り受け、「京都丹後鉄道」として列車を運行しています。

また、令和6年10月には、令和7年4月からの新たな計画の認定(計画期間令和17年まで)を受け、引き続き、上下分離構造を維持するほか、沿線自治体の支援を頂きながら新型車両の導入や、駅施設改善等の利用者利便の確保に関する取組などを行っているところです。

2 計画に基づく取組の推進

新たな再構築計画では、年間利用者数を令和16年度には、165万人という目標値を設定し、利用者の利便の確保に取り組むこととしております。その中で安全・安心で質の高い輸送サービスの提供として、先進車両装置を搭載した新型車両の導入等により、乗り心地や列車運行の安定性・定時性の向上を図るとともに、新車両の導入に伴い、駅ホームの高さを嵩上げし、車両乗降時の段差解消を進めるほか、持続可能性の向上に資する鉄道施設等の維持修繕及び更新・改良などを進めることとしております。

また、利用促進に向けては、沿線のまちづくりや観光戦略との連携が不可欠と考えております。さらにアクセス交通や駅施設の改善などによる利便性向上にも取り組むこととしております。

3 新型特急車両を導入する背景

京都丹後鉄道における車両(北近畿タンゴ鉄道保有)は、多くの車両が製造後30年以上が経過し計画的な更新が必要な時期が到来しております。特に、特急車両「丹後の海」は、平成8年にKTR8000系「タンゴディスカバリー」として5編成10両を製造し、平成27年から29年にかけて、観光振興を目的に「丹後の海」として全面リニューアルしたものです。現在、製造後30周年が経過し、老朽化が進行しており、京都府北部地域への安全かつ安定的な誘客を図るため、今回、優先的に更新を行うこととしました。

京都丹後鉄道が走行する京都府中北部地域や兵庫県但馬地域は、天橋立や伊根の舟屋、城崎温泉をはじめとした観光地だけではなく、美しい海や森、田園風景など魅力的な景観、豊かな自然がもたらす食や歴史にもあふれた地域です。この地域を訪れる観光客をはじめ、到着する前から移動を楽しんでいただき、新たな旅の価値を提供することで、更なる観光客の増加や交流人口の拡大につながるとともに、地域の皆さまにとって誇りとなり、地域全体の持続的な発展を力強く支える、そのような車両にしていきたいという思いを持ち、更新作業を進めています。

261001【北近畿タンゴ鉄道㈱】 <表>表)北近畿タンゴ鉄道タンゴ鉄道(株)の保有車両の状況

そのような中で、現在の特急「丹後の海」は天橋立をはじめとする北部地域の豊かな自然や歴史、食文化を結ぶ象徴として、観光誘客の力強いけん引役となっており、「丹後の海」を継承・発展する新たな車両を創造していくために、平成25年にあかまつ号、あおまつ号、平成26年にくろまつ号、平成27年から29年にかけて特急車両「丹後の海」のデザインを手掛けていただいた水戸岡鋭治氏にデザインをお願いしているところです。

水戸岡先生には、特急「丹後の海」は、海の京都を再認識いただくと同時に、新たな丹後の楽しさ、鉄道の旅を演出する走る公共の舞台となること。また、北部エリアの経済と文化と人を結び、豊かなコミュニケーションが自然に生まれる公共の車両としてそれぞれの人にそれぞれの旅を提供するというコンセプトのもと、デザインを進めていただきました。

261001【北近畿タンゴ鉄道㈱】 <写真①>1号車客室データs

去る、令和7年1月29日には完成したデザインを基に新型特急デザイン発表セレモニーを実施し、デザインを発表したところですが、

・外観は、今までの流れを継ぐ車両利用として、藍色メタリック仕上げ(現行特急車両と同じ)に金色のシンボルマークを配し、なつかしくて新たなデザインに仕上げ

・車内は床・壁・天井・家具・シートに木をふんだんに使うことで、心と身体で本当に心地よい時間と、空間が生まれる

・セミコンパートメントやカウンターなど、旅が楽しくなるしかけが多く盛り込まれている

などが特徴となります。

261001【北近畿タンゴ鉄道㈱】 <写真②>新型車両デザイン ポスターs
261001【北近畿タンゴ鉄道㈱】 <写真③>A 車内デザイン 1号車一般客室s
261001【北近畿タンゴ鉄道㈱】 <写真④>B 車内デザイン 2号車セミコンパートメントs

製造する車両としての特徴は、

・燃料を効率よく使える最新のエンジンを採用することによる燃費の向上や黒鉛等(窒素酸化物)の排出量が減少

・エンジン音の改善による快適性の向上

・列車の向きが変わる際に、運転室からボタン操作で自動的に連結や切り離しが可能となり、駅員が線路に降りる必要が無くなり、事故の危険の軽減、人手不足対策につながる

・車体に錆に強いステンレス素材を使用しており、車体が痛みにくく、メンテナンス性の向上

・段差ステップの改善による乗降性能の向上

などがあります。

沿線の皆様とともに令和10年の新型車両のデビューを心待ちにしています。

4 安全対策に向けて

少し話題は変わりますが、私どもが昨年度末に実施した安全対策の取組をご紹介させていただきます。

京都丹後鉄道宮舞線の丹後神崎・丹後由良駅間で国道178号と交差する由良架道橋では、架道橋を保護する防護工にトレーラー等が衝突して防護工が大破する事故が近年多発していました。架道橋そのものに影響があった場合は、運行に甚大な影響を与えることから、鉄道事業者、道路管理者、警察などの関係者で協議を繰り返し、令和7年度に京都府内の鉄道会社としては、初めてとなる高さ制限予告ゲートを設置しました。

この取組は、防護工の手前に、衝突しても損傷が軽微となる高さ制限ゲートを設置することにより、大型車両の運転手に確実に高さ制限の超過を気付かせUターンや迂回を促す仕組みです。設置からまだ半年程度ですが、既に複数回、ゲートに接触した痕跡があり、一定の効果があったものと考えております。

261001【北近畿タンゴ鉄道㈱】 <写真⑤>制限架台写真s

5 終わりに

昨年度は、1月~2月にかけて大雪による計画運休も多く発生しました。特に今回は雪の除雪のみならず、雪による倒木も多く発生し、運転再開には時間を要したところです。延長が114㎞と長く、事前伐採も限られた予算の中でなかなか進んでいない現状があります。沿線の住民の方にホームページなどから、ご協力を呼び掛けたりしています。鉄道事業者の方がいらっしゃいましたら、情報共有をお願いできればと考えております。

課題が多い第三セクター鉄道ですが、引き続き力を合わせて頑張りましょう。

なお、10月3日、4日に京丹後市網野町でローカル鉄道サミットが開催されます。ぜひ、京都へお越しください。