【三セク協だより第58号掲載】挑戦し続ける若桜鉄道II

1.若桜鉄道若桜線は国鉄改革により誕生

◆経過・概要

 若桜線は、鳥取県八頭郡八頭町郡家の郡家駅から同郡若桜町若桜の若桜駅を結ぶ19・2キロの鉄道路線です。若桜鉄道株式会社による若桜線は、昭和62年(1987年)4月に国鉄分割民営化により、西日本旅客鉄道株式会社〈JR西日本〉が継承しましたが、同年10月にはJR若桜線が廃止され、同年10月14日に開業しました。同社は、旧国鉄特定地方交通線の若桜線を引き継いで運営する鉄道会社で、同年8月6日、鳥取県・鳥取市・八頭町・若桜町などが出資する第三セクター方式で設立されました。

 その後、時代や社会の変化に伴い、地域の公共交通機関のみならず、地域の産業の発展に貢献しており、平成20年(2008年)7月、駅舎・転車台等の鉄道構造物23施設が一括して国の登録有形文化財に登録されました。国鉄分割民営化により、JR西日本が継承した若桜線を引き継いで、今も走り続けて36年、現在に至っています。

 また、年々沿線の過疎化、少子化に拍車がかかり、利用者の減少が続き、経営状況は悪化。このため、平成21年(2009年)4月、上下分離方式(公設民営)により、若桜鉄道は再出発しました。

 しかし、上下分離方式へ移行した平成年21度から3年間は黒字を確保しましたが、再び赤字に転落。平成28年(2006年)4月からは、若桜鉄道の車両も若桜町・八頭町へ移管したことで5期ぶりに黒字となりましたが、決して予断を許さない状況でした。

*平成28年4月から、若桜鉄道株式会社が所有する車両4両についても、自治体が所有する上下分離方式での運行を実施することとし、車両に係る保守管理費用についても若桜町・八頭町の両町が負担することとなりました。

 「沿線地域の概要(令和5年8月1日現在)」は、次の通りです。

若桜町

面積 199.2㎢

人口 2,782人

世帯数 1,275世帯

高齢化率 48.6%

教育施設 1校(小中一貫校)

八頭町

面積 206.7㎢

人口 15,901人

世帯数 6,114世帯

高齢化率 36.3%

教育施設 高校1校、中学校1校、小学校4校

 参考までに、沿線人口の減少状況と予測は、次の通りです。

*国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成25年3月推計)」によると、若桜鉄道沿線人口は、令和27年(2045年)には、10,333人まで減少すると推計されています。

沿線人口の減少状況と予測

 沿線人口の減少に伴う輸送人員の減、併せて旅客収入の減が続く中、若桜鉄道の生き残りをかけた挑戦事業が、平成29年(2017年)度から令和元年(2019年)度まで、①車両の観光列車化、②八東駅行き違い施設の整備と続きました。

 車両の観光列車化も進み、行き違い施設も整備され、これから多くの方にお出でいただけると考えていた中、コロナ禍となり、先が見えないトンネルへと入って行きました。ここ数年は、若桜町・八頭町からコロナ交付金をいただき、会社経営を乗り切って参りました。

若桜鉄道の輸送人員

若桜鉄道の旅客収入

①車両の観光列車化

②八東駅行き違い施設の整備

2.コロナ禍でも支えられたもの

コロナ禍の中での取組み

 令和3年度にJR西日本からオファーがあり「隼ラッピング列車」を令和4年(2022年)7月1日~18日まで、京都鉄道博物館での展示が実現することになり、若桜鉄道を全国へ発信する絶好の機会をいただきました。ここから、アフターコロナを目指し、若桜鉄道の生き残りをかけた挑戦事業Ⅱがスタートしたのです。毎月、イベント参加を目指し、若桜鉄道のPR活動と物販を目標に取組みを進めました。

▶︎令和4年度主な取組みイベントの事業

【京都鉄道博物館 隼ラッピング列車展示事業】

・期日:7月1日(金)~7月18日(月)

・場所:京都鉄道博物館

・内容:隼ラッピング列車展示、物販、若鉄PR活動、若鉄ソング披露等

【若桜の秋色祭り事業】

・期日:9月23日(金)

・場所:若桜駅構内等

・内容:SL・トロッコ乗車体験、転車台回転体験、構内無料開放、若鉄PR活動、物販

【若桜鉄道35周年記念イベント事業】

・期日:10月16日(日)

・場所:若桜駅構内等

・内容:SL・トロッコ乗車体験、転車台回転体験、構内無料開放、若鉄PR活動、物販

【第21回ことでん電車まつり出展事業】

・期日:11月3日(水)

・場所:ことでん

・内容:若鉄PR活動、物販

【真岡鐵道まつり出展事業】

・期日:11月26日(日)

・場所:真岡鐵道

・内容:若鉄PR活動、物販

【2022とっとり交通フェスタ出展事業】

・期日:12月4日(日)

・場所:鳥取鉄道記念公園

・内容:若鉄PR活動、物販

【第1回モノレールサミット出展事業】

・期日:令和5年1月21日(土)~1月22日(日)

・場所:湘南江ノ島駅ビル

・内容:若鉄PR活動、物販

【鉄道の世界へようこそvol. 17出展事業】

・期日:令和5年2月12日(日)

・場所:とっとりわらべ館

・ 内容:若鉄PR活動、物販

▶︎令和4年度主な観光列車取組み事業

【若桜鉄道観光列車ツアー誘客応援事業】

・若桜鉄道観光列車利用促進キャンペーンとして、若桜鉄道貸切プランの基本料金を無料とするキャンペーンを実施。計41件

・期間:令和4年7月~令和5年3月期間中、

〇地酒列車

〇ハロウィン列車

〇クリスマス列車

〇卒園列車

〇出会い列車、カップル列車などの取組み。

卒園列車の様子

▶︎令和4年度その他主な取組み事業

【若桜鉄道観光列車PRグッズデザイン作成事業】

・若桜鉄道観光列車「昭和号」「八頭号」「若桜号」のPRに係るグッズを整備するため、オリジナルグッズデザインを作成。(PRグッズデザインの作成:ペンケース、マスク、パタパタメモ帳、ノート、クッキー等)

【地域独自の観光資源を活用した地域の稼げる看板商品の創出事業】

・若桜鉄道「鉄印帳」を利用した沿線地域活性事業を実施。

・ 内容:ワークショップ、デジタルスタンプラリー、情報番組で広報宣伝、旅行雑誌への掲載宣伝活動、モニターツアー(参加者:176名)。

・期間:令和4年7月4日~令和5年2月28日

3.持続可能な取組みに向かって

◆令和5年(2023年)度新たな挑戦

令和5年度は、沿線の両町からのコロナ交付金もないため、若桜鉄道としては、正念場を迎えることとなりました。昨年度から引き続き、若桜鉄道の生き残りをかけた挑戦事業Ⅱに取組んでいます。

【社外広報員の任命】(新規)

〈4月1日任命式〉県外の方で組織する、若桜鉄道サポーターズのメンバー9名を若桜鉄道の社外広報員として任命させていただきました。今後とも引き続き、若桜鉄道のPR活動と支援活動を展開していただく会社公認組織として頑張っていただくものです。

【写真撮影会】(新規)

〈4月~11月〉若桜鉄道にある車両等の写真撮影会の実施。

【体験運転会の再開】

〈4月~11月〉SL・DL・DCの体験運転を再開。

【利用促進事業】(新規)

〈7月~8月〉親子切符半額キャンペーンを土日、祝日のみ実施。

【観光庁事業への挑戦】(新規)

〈10月21日~22日〉2日間イベント開催。

【SLトロッコ乗車体験会の再開】

〈8月~11月〉8月から11月までの第4日曜日にSLトロッコ乗車体験会を再開

【各種イベントへの参加】

・大鉄道博in米子〈米子市〉(新規)〈8月5日~15日〉

・丹鉄・鉄印祭り2023〈丹波市〉(新規)〈10月7日~8日〉

・第30回鉄道フェスティバル〈東京都〉(新規)〈10月8日~9日〉

・ことでん祭り〈高松市〉(継続)〈11月3日〉

・真岡鐡道まつり〈真岡市〉(継続)〈11月25日〉

・第2回モノレールサミット〈大阪市〉(継続)〈12月9日~10日〉

・人吉駅祭り〈人吉市〉(新規)〈3月31日〉

4.地域の力

◆おもてなしやイベント

令和5年度も沿線住民の踏ん張りで、各駅を盛り上げていただいています。丹比駅では、丹比駅活性化プロジェクトによる、第1回若桜鉄道丹比駅短歌・俳句まつりの開催が決まりました。新たなイベントを考えていただき、感謝しています。駅ごとに温度差はありますが、それぞれの形で一生懸命取組んでいただいています。このような活動や取組みにより、若桜鉄道の利用者が増えていることも事実です。地域の力で大いに貢献していただいており、厚くお礼申し上げます。

▶︎沿線住民の主な取組み

【因幡船岡駅納涼祭】(継続)

・日時:7月16日(日)17:00〜

・場所:因幡船岡駅

【第13回隼駅まつり】(継続)

・日時:8月20日(日)10:00〜

・場所:船岡竹林公園

隼ライダー他、2,300台のオートバイが参集し、2,600人が集いました。

【第1回若桜鉄道丹比駅短歌・俳句まつり】(新規)

・日時:9月30日(土)17:00~

・場所:丹比駅

今後に向けて

人口減少が止まらない中、今後は、インバウンドなどの誘客や、交流人口の増加に力を入れていかなければならないと考えています。

地域そのものの集客力、すなわち、仕事や観光でこの地域を訪れる需要を生む力が必要と思われます。観光資源を売り出す際は、我々鉄道事業者も今まで以上に積極的に沿線の魅力を売り込んだり、企画商品を作り出すなどの方策を考え、ヒット商品を生み出す努力が欠かせません。色々な収益の増加に頑張っていきたいと思います。

鉄道を地域の将来に向けて考えると、経営改善のための自助努力の徹底や、企画列車の運行などにより、集客数と収益の両面で増加を図らなければなりません。財政面だけではなく、地域住民の方々にとって、さらなる利便性の高い鉄道を目指していくことが重要です。

今後とも、色々な収益の増加に頑張っていきたいと思います。

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